高知家庭裁判所 昭和59年(少)647号 決定 1984年6月20日
少年 O・A子(昭四四・八・三生)
主文
少年を初等少年院に送致する。
理由
本件非行事実
1 犯罪事実
(1) 司法警察員作成の昭和五九年二月六日付少年事件送致書記載の犯罪事実(編略)一及び二
(2) 検察官作成の同日付送致書記載の犯罪事実(編略)(原票番号No一三八三六七)
(3) 同作成の同年五月二四日付送致書記載の犯罪事実(編略)(原票番号No一三九三八九)と同一であるからこれを引用する。
2 虞犯事由
少年は、上記1の(1)及び(2)の窃盗、道路交通法違反保護事件によつて、昭和五九年二月二九日、当裁判所において試験観察決定を受け、当裁判所調査官の試験観察を実施されていたものであるが、同年四月の新学期からも依然として中学校に登校せず、不良交友、無断外泊等を繰り返し、この間、母親はもとより、中学校、調査官の指導にも全く従おうとしない状況であつて、これら少年の性格、行状及び環境に照らせば、少年が将来窃盗、シンナー吸引、無免許運転などの罪を犯す虞は大きいものといわなければならない。
適条
1 上記1の(1)の各所為につき 刑法二三五条
2 同1の(2)の所為につき 道路交通法一一八条一項一号、六四条
3 同1の(3)の所為につき 同法一一八条一項一号、六四条、一二〇条一項一〇号の二、五七条一項
4 同2の事由につき 少年法三条一項三号イ、ロ、ハ、ニ
処遇の理由
少年の性格、行状及び環境は少年調査票、調査官の意見書及び鑑別結果通知書(編略) (二通)に摘示してあるとおりであり、少年は家庭でのしつけ不足と、甘え及び反抗が続き、適切に自己を統制し、他を受け入れることができにくくなつており、常に自分が受け入れられること、自分の思い通りになることを望み、自分に対する圧力を感じると反発しやすく、不満感情が直接的に発散されやすく、障害に耐える力や根気強さが育つていないという状態で、前記試験観察によつても少年に自律的な構えは生じなかつたばかりか、少年はますます外罰的反発的な態度を強めるに至つた。
よつて、この際少年を矯正施設に収容し、母親との関係及び交友関係を見直させ、自己統制力、健全な生活態度及び社会適応力を身につけさせる必要があるものと判断し、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項、少年院法二条を適用して、少年を初等少年院に送致することとし、主文のとおり決定する。
処遇勧告
なお、少年は高校進学の意思を示し始めているので、少年審判規則三八条二項により、少年院での経過によつては中学卒業時に仮退院させて、進学の機会を与えるという弾力的な処遇の運用がなされるよう勧告する。
(裁判官 長井浩一)
処遇勧告書<省略>